白菜が高い

あんなに安かった白菜ちゃんが
お高く止まっているので少し身の程を知らせてやろうと
手羽元を煮込んだ白濁液の中にぶちこんでやりました。


謎の白い液体の中でしおれていく様を恍惚の笑顔で見下す。
既に彼女の芯まで湯が通ろうとしている中
敢えて予め剥いでおいた菜の部分を彼女の上にかぶせた
突然、自身の菜の部分を覆わされた事に戸惑いを隠せないようだったが
すぐにその戸惑いはある確信へと変わる。


そう、私は敢えて最初に芯と葉っぱの部分を切り離す事によって
彼女の芯と菜っ葉の火の通り加減を調節したのだ。
それに気付いた彼女の芯はすでにクタクタにゆで上がっていた。
私は芯は歯で千切れる程に煮込むのが好みなのだ。


やがて、もう抵抗する力も奪われた彼女を覆う菜っ葉がしなり初め
彼女の自由を奪い始める。
ついさっきまで自分の一部だったものが自分を縛り付ける
嗚呼、なんという皮肉なことだろう。


既に芯か菜っ葉か判断する事も出来なくなったそれに
豆腐と春雨を加える事にした
最早自分が何をされているかも把握できていないのだろう
くつくつと音を立てる鍋の泡に身を委ねる様に
彼女は鍋の中で踊っている。


既に私の空腹は限界に来ていた。
私はこの時の為に特別に調合してもらったある液体を取り出す。
白い豆を数日かけて発酵させ禍々しい程黒くなった醤油に
酸性の果汁を配合したもの…。
―ポン酢だ


箸で掴むと力なく垂れる彼女を芯を私はこのポン酢に

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