ファミマの

チロルチョコパンを食べましたよ
なかなか美味いじゃありませんか

きなこってピーナッツクリームみたいな味がしますね
きなこなのにね
きなこって何か田舎娘って感じですね


きなこ「あっくん、東京行くって本当?」
あっくん「ん…まぁ」
きなこ「そっかぁ…」
あっくん「べ…別に会えなくなる訳じゃなかやろ!
    手紙も書くし、暇があったら帰っくっし!」
きなこ「うん…そやね」


東京に行けばこんな自分でも成功できると信じて疑わなかったあの頃
だけど、何処に行こうとも現実なんて甘くない
社会に出る事に場所なんて関係無かった


最初の仕事は1ヶ月ももたなかった
その次の仕事も、そのまた次の仕事も


削られていく人間力
落ちたものを取り戻す気力も無くなり
ただ日々を経過させる事だけ
妥協し、諦め
無気力に、無関心に
機械のように働き
僅かな賃金を受け取る
そんな日々が5年も続いていた

ピンポーン

あっくん「ん…」

ピンポーン

あっくん(…勧誘か?…こんな昼間っから…)

ピンポーン

あっくん「ああ、もう!うるせぇなぁ!!」

    「間に合ってるよ!!」
*「ひゃあっ!!」
あっくん「っ…!?」
勢いよく開けたドアの先にいたのは
勧誘でも変な宗教団体でも無く
一人の女の子だった


あっくん「……きなこ…?」
見覚えのあるクリーム色のコート
かつで自分が東京に行く前にプレゼントしたものだ
きなこ「び…ビックリしたぁ〜…」
あっくん「え…あ…お前…何で」
きなこ「あっくんがず〜〜〜〜っと帰ってこんから!
    あたしの方から来たんだ!」
あっくん「…いや、事前に連絡くらいよぉ」
きなこ「あっくん、電話も全然出んくせに…」
あっくん「…」


確かに、ここ数年は仕事先以外とは電話などしていない
たまにかかって来るのはやれ振り込めだのやれ使用料だのの
電話ばかりなので
休日は殆ど携帯の電源は切っているのだ


あっくん「…何しに…来たんだ」
きなこ「何…って
    『顔ば見に来た』じゃダメと?」

あっくん「ダメじゃねぇけど…」
きなこ「ほら、スーパー寄って来たったい!
    どうせ、コンビニとかばっかやろ?」
あっくん「余計なお世話や…」


             〜続けようが無い〜